Gepotidacinの第III相臨床試験(EAGLE-2およびEAGLE-3)で事前規定された中間解析の結果、独立データモニタリング委員会の勧告による早期有効中止

この資料は、英国GSK plcが2022年11月3日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。
詳細はhttps://www.gsk.comをご参照ください。

<2022年11月3日 英国ロンドン発>

Gepotidacinの第III相臨床試験(EAGLE-2およびEAGLE-3)で事前規定された中間解析の結果、独立データモニタリング委員会の勧告による早期有効中止

  • 米国食品医薬品局(FDA)へのgepotidacinの新薬承認申請は2023年上半期予定
  • Gepotidacinが20年超ぶりの単純性尿路感染症に対する新規の経口抗菌薬となる可能性

GSK(本社:英国)は、成人および青年期の女性の単純性尿路感染症(Uncomplicated Urinary Tract Infections以下、uUTI)の治験薬であるgepotidacinを評価する主要な第III相臨床試験(EAGLE-2およびEAGLE-3試験)で、独立データモニタリング委員会(Independent Data Monitoring Committee以下、IDMC)の勧告に基づき、有効性評価のための登録を早期に中止することを発表しました。この決定は、事前規定された中間解析の結果に基づいて行われ、その解析には両試験で3,000例を超える患者さんの有効性および安全性データが含まれています。

GSKの開発部門シニアバイスプレジデントであるChris Corsicoは次のように述べています。
「単純性尿路感染症(uUTI)は、最も一般的な外来感染症であり、女性の半数以上が生涯で一度はuUTIを発症し、4分の1以上の女性がuUTIの再発に苦しんでいます。過去20年以上もの間、uUTIに対する新規の作用機序を有する経口抗菌薬は登場していません。耐性菌によるuUTIが増加する今、新たな治療選択肢としての抗菌薬が必要とされています。このたびのIDMCの勧告によるEAGLE-2およびEAGLE-3試験の早期有効中止に伴い、GSKは規制当局と協力しながら、uUTIの患者さんに新規クラスの抗菌薬を提供するために取り組んでまいります。」

EAGLE-2およびEAGLE-3試験は、ニトロフラントインに感性の尿路病原体によるuUTIの患者さんで治癒判定(Test-Of-Cure以下、TOC)来院時の臨床的消失と細菌学的消失の複合的な有効性をgepotidacinとニトロフラントインで比較する主要目的を達成しました。IDMCのレビューでは、安全性に関する懸念事項は確認されませんでした。

EAGLE-2およびEAGLE-3試験は、現在患者さんの登録を終了しており、2023年第1四半期に、最後の患者さんの最終来院とデータ収集が行われます。GSKは規制当局と協力して、2023年上半期にGepotidacinの承認申請を行います。また、最終的な試験結果は、2023年に学術会議での発表および査読付きジャーナルへの論文に投稿します。

Gepotidacinの開発は、GSK、米国政府の生物医学先端研究開発局(BARDA)、米国国防総省の国防脅威削減局(DTRA)との官民パートナーシップにより行われています。BARDAは、米国保健福祉省の戦略的準備・対策局(Administration for Strategic Preparedness and Response)の一部です。BARDAとの提携は、薬剤耐性およびバイオテロへの対策としての抗菌薬の開発の支援を目的として2013年に結ばれました(契約番号HHSO100201300011C)。

uUTIは社会で最も一般的な感染症のひとつです1。uUTI(または急性膀胱炎)の年間発生率は女性全体で12%、65歳以上の女性で約20%であり、uUTIエピソードの30~44%が再発性です1,2,3。uUTIの主な原因菌である大腸菌では1、現在使用されている抗菌薬に対する耐性率が高まっており4,5、uUTI患者さんに対する経口抗菌薬の治療選択肢が少なくなっています6。特に過去20年以上にわたりuUTIに対する新規の作用機序を有する経口抗菌薬は登場しませんでした。そのため、uUTIの治療に有効で、薬剤耐性菌(AMR)への対策になりうる新たな経口抗菌薬の開発が必要とされています2,7

EAGLE(Efficacy of Antibacterial Gepotidacin Evaluated)第III相プログラムについて
成人および青年期の患者さんを対象としたgepotidacinの第III相臨床プログラムは、以下の3つの試験で構成されています。

  • EAGLE-2試験(uUTI、非劣性試験、204989)は、gepotidacin(1500mgを1日2回5日間経口投与)の有効性と安全性をニトロフラントイン(100mgを1日2回5日間経口投与)と比較しています。治験期間は約28日間です。主要評価項目は、適格な尿路病原体を有する患者でのTOC来院時の臨床的消失および細菌学的消失を指標とした複合評価項目です。
  • EAGLE-3試験(uUTI、非劣性試験、212390)は、gepotidacin(1500mgを1日2回5日間経口投与)の有効性と安全性をニトロフラントイン(100mgを1日2回5日間経口投与)と比較しています。治験期間は約28日間です。主要評価項目は、適格な尿路病原体を有する患者でのTOC来院時の臨床的消失および細菌学的消失を指標とした複合評価項目です。
  • EAGLE-1試験(泌尿生殖器の淋菌感染症、非劣性試験、BTZ116577)は、淋菌に起因する単純性淋菌感染症患者約600例を対象として、gepotidacinの有効性と安全性を、セフトリアキソン500mgの単回筋肉内投与とアジスロマイシン1gの単回経口投与の併用と比較します。Gepotidacinは、3000mgを初回来院時に治験実施医療機関で経口投与し、その後1回目の投与から10~12時間後に2回目の3000mgを自己経口投与します。治験期間は約21日間です。主要評価項目は、TOC来院時に、泌尿生殖器部位から培養により確認された淋菌の細菌学的消失です。EAGLE-1試験は現在進行中で、泌尿生殖器の単純性淋菌感染症の治療薬としてgepotidacinを検討しています。

EAGLE-2試験では薬物動態データが取集され、EAGLE-3試験では治療中の心電図検査が実施されており、その他はEAGLE-2およびEAGLE-3試験で同じ試験デザインであり、両試験からは重要な臨床エビデンスが得られています。治験への患者さんの登録はコロナ禍と重なっており、EAGLE-2試験は2019年10月、EAGLE-3試験は2020年5月に登録が開始されました。治験は12カ国の医療機関で行われ、各国での感染と耐性のパターンは異なります。

Gepotidacinについて
Gepotidacinは、開発中の新規抗菌薬です。他の抗菌薬とは異なる作用機序によって細菌のDNA複製を阻害する、新規の作用機序を有するトリアザアセナフチレン骨格の抗菌薬であり8,9、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素に同等かつ独立して結合します10。これにより、既存薬への耐性を示す分離株を含む、ほとんどの大腸菌株と腐性ブドウ球菌株に対して抗菌活性を示します11,12。Gepotidacinは、2つの酵素に同等かつ独立して結合することから、病原菌がgepotidacinに対する耐性を獲得するためには、両酵素の変異が必要となります。

GSKと抗菌薬
GSKは70年以上にわたり抗菌薬の開発と供給を行ってきました。研究開発では、感染症を予防・軽減し、薬剤耐性菌に対して先手を打つべく、研究に取り組み続けています。GSKはすでに、医薬品アクセス財団の薬剤耐性ベンチマークにおいて業界をリードする評価を受けています。2022年9月、GSKはSpero Therapeutics社との間で、複雑性尿路感染症の治療薬候補として開発後期段階の抗菌薬であるテビペネムHBrをパイプラインに追加する独占的ライセンス契約を締結しました。取引の終了は、1976年に制定されたハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法に基づく待機期間の満了に従います。

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.comをご参照ください。

 


1 Hooton TM. Uncomplicated Urinary Tract Infection. N Engl J Med. 2012;366:1028-37.
2 Rich SN, Klann EM, Almond CR, Larkin EM, Nicolette G, Ball JD. Associations between antibiotic prescriptions and recurrent urinary tract infections in female college students. Epidemiology and Infection. 2019;147.
3 Medina M, Castillo-Pino E. An introduction to the epidemiology and burden of urinary tract infections. Therapeutic Advances in Urology. 2019;11:175628721983217.
4 WHO. Global priority list of antibiotic-resistant bacteria to guide research, discovery, and development of new antibiotics. 2017.
5 CDC. Antibiotic resistance threats in the United States. 2019. Available from: https://www.cdc.gov/drugresistance/pdf/threats-report/2019-ar-threats-report-508.pdf [Accessed October 2022]
6 Kaye KS, et al. Clin Infect Dis. 2021;73(11):1992-1999.
7 2020 Antibacterial agents in clinical and preclinical development: an overview and analysis. Geneva: World Health Organization; 2021. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO.
8 Gibson EG, et al. ACS Infect Dis 2019;5(4):570−581.
9 Bax BD, et al. Nature 2010;466(7309):935–940.
10 Oviatt A, et al. Poster #L0178 presented at ECCMID, 23–26 Apr, 2022, Lisbon, Portugal.
11 Biedenbach DJ, et al. Antimicrob Agents Chemother 2016;60(3):1918–1923.
12 Mushtaq S, et al. Poster #P1849 presented at ECCMID, 13–16 April, 2019, Amsterdam, The Netherlands.